Cherry Blossoms〜咲き誇った花の名は〜
桜士が訊ねると一花は首を縦に振る。やはりそうだった。桜士は真剣な目を彼女に向ける。

「ミンジュンさんは無理矢理とは言え、組織のテロ行為に深く加担しました。情状酌量はつかないでしょう」

桜士がそう言うと、一花の手が震える。顔から笑みが消え、リップグロスの塗られた唇が言葉を震えながら紡いだ。

「それは、ミンジュンが極刑になってしまう可能性もある、そういうことですか?」

今にも泣き出してしまいそうな一花に桜士は笑いかけ、その頭に触れる。

「安心してください。ミンジュンさんはテロ行為に加担していたとは言え、我々公安に情報をこっそり提供したり、Cerberusの計画を失敗させようとしたりしていました。この行動はきっと、彼の裁判に大きく関わってくると思います」

「そうですか……」

一花は安心したように息を吐く。その表情を見ていた桜士は、自然と言葉に出していた。

「四月一日先生、好きです。俺はずっと先生に苦しいくらいに恋をしているんです」

「えっ……」

一花の顔が赤く染まる。二人の間を、温かくなり始めた風が吹き抜けていった。
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