Cherry Blossoms〜咲き誇った花の名は〜
心の奥底に気になっていることを隠しつつ、桜士は一花の方を見る。一花は「そうですね。お花見、楽しみです」と笑う。そんな彼女の頭の上に花びらが落ちる。

「あっ……」

桜士は指を伸ばし、その花びらを取る。一花の柔らかな髪に指が触れた刹那、彼女の顔は赤く染まる。

「ついてましたよ」

桜士がそう言い顔を近付けると、一花の顔がさらに赤くなる。それを見て桜士は呟いた。

「脈はありそうだな」

呟いた言葉が聞こえたのだろう。一花は俯き、「早く行きましょう!」と声をかけ、早口で歩き始める。

その後ろ姿ですら愛しいと思いながら、桜士は「はい」と返事をして歩き始めた。












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