命令教室
修はあっという間に5つのジャガイモの皮を剥き終えてしまった。
もしかしたら私よりもずっと料理上手なのかもしれない。
そう思って少し気持ちが焦ってくる。

勉強もスポーツもできて料理までできるなんて、すごすぎる!
私も負けていられなくて懸命にニンジンの皮を剥いていく。
ニンジンの甘い香が食欲を刺激して、カレーが出来上がった頃にはすっかりお腹が空いていた。


「あぁ、腹減った!」


大きな声を上げたのはろくに手伝っていない充だ。
充は細長い体をくの字に曲げて椅子に座っている。
食べても食べても太らないタイプなんだろうなぁ。

内心羨ましく感じながら人数分のカレーを運ぶ。
食堂内はとてもいい香りに包まれた。
途中から食堂を追い出されてしまった潤も戻ってきて、全員が席に座る。


「それじゃ、いただきます」


先生の言葉を合図にして、私達はカレーを食べ始めたのだった。
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