命令教室
声を震わせて提案したのは純子だ。
純子は無駄に怒鳴り散らす充を睨みつけている。


「なんだと?」

「きっと明日もそのホワイトボードになにかが書かれる。この中に犯人がいるなら、犯人は必ず教室に現れるってことでしょう?」


純子はホワイトボードを指差して説明した。
明日も同じことが起きるかもしれないと想像したら、体中が冷たく凍りついていく。
こんなことが、あと何回続くというんだろう。


「なるほど。犯人が現れたら俺が捕まえればいいんだな?」


充は純子の提案を飲んだようだ。


「本気でそんなことする気か?」


さすがに修は反対みたいだ。
だけど、こうするしか充を納得させる方法はない。
誰もなにもしていないのに現象が起きる。
そう理解すれば、もう誰かを怒鳴るようなこともなくなるはずだ。


「当たり前だろ」


充は簡潔に返事をすると、教室で寝るための準備を始めたのだった。
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