王子様との奇跡な恋をⅢ
聡「……唯一の祖父だよ。初めましてだね。」
唯人「っ!すみません。」
思いっきり頭を下げる。
子供とは思えない行動に驚いて目を見開く。
聡「頭をあげなさい。」
唯人「……唯一を助けようとしたけど、俺ではダメでした。次に何かあった時、隣に居ていいのはもっと強い人がいい。俺が隣に居ては逆に怪我をさせるだけです。」
聡「いいから……まずは頭をあげなさい。」
唯人「はい。」
聡「まだ小学生の子供が、最初から大人と同じ立ち居振る舞いができるなんて、そんな都合のいい話はこの世に存在しない。」
唯人「…………。」
それでも自分の無力さを悔やんで拳を握り締める。
聡「医者から、もしかしたら今回の事件に関係した人、つまり君を含めた人達の顔を見るとパニック障害が起こるかもしれんと言われた。」
唯人「やっぱり隣にいるべきではないですね。」
聡「最後まで聞きなさい。唯人……なんでもすぐに諦めようとするな。もっと考えろてから答えを言いなさい。」
唯人「けど……。」
聡「唯人。唯一の隣に立ちたいと思っているなら、まず大人を頼りなさい。」
唯人「……頼れる大人はどこにもいない。」
聡「なぜ?」