上司の甘い復讐




ハゲ崎は私をじっと見た。

私は逃げる体勢を整える。



だけど……




「ミキさんですか?

はじめまして。川崎翔太と申します」


奴は頭を下げるのだ。




……は?

ハゲ崎ってもしかして、すっごく馬鹿なのか!?

私がヅラ被ってちゃんとメイクしていることに気付かないのか。

だから私は、慌てて言う。


「お、大谷ミキです!

よろしくお願いします」



慌てながら言ったため、本名の大倉瑞希に似すぎていることに愕然とする。

それなのにハゲ崎は全然気付かないのだ。

爽やかにこやかに言う。


「ミキさん、お会いできて嬉しいです」



ハゲ崎って笑うんだ。

てか、こんなに普通の対応が出来るんだ。

私はいつも怒られてばかりなのに、この外面の良さに驚きを隠せない。

そして、突如として閃いた。

ハゲ崎は今の私のことを、本気で大谷ミキだと信じているらしい。

ハゲ崎を惚れさせて弄んで、そして最後にポイしてやろう。

毎日酷い目に遭わされている仕返しだ。

私は心の中でガッツポーズをしていた。


< 16 / 349 >

この作品をシェア

pagetop