上司の甘い復讐
ハゲ崎は私をじっと見た。
私は逃げる体勢を整える。
だけど……
「ミキさんですか?
はじめまして。川崎翔太と申します」
奴は頭を下げるのだ。
……は?
ハゲ崎ってもしかして、すっごく馬鹿なのか!?
私がヅラ被ってちゃんとメイクしていることに気付かないのか。
だから私は、慌てて言う。
「お、大谷ミキです!
よろしくお願いします」
慌てながら言ったため、本名の大倉瑞希に似すぎていることに愕然とする。
それなのにハゲ崎は全然気付かないのだ。
爽やかにこやかに言う。
「ミキさん、お会いできて嬉しいです」
ハゲ崎って笑うんだ。
てか、こんなに普通の対応が出来るんだ。
私はいつも怒られてばかりなのに、この外面の良さに驚きを隠せない。
そして、突如として閃いた。
ハゲ崎は今の私のことを、本気で大谷ミキだと信じているらしい。
ハゲ崎を惚れさせて弄んで、そして最後にポイしてやろう。
毎日酷い目に遭わされている仕返しだ。
私は心の中でガッツポーズをしていた。