上司の甘い復讐



「翔太さん、お待たせしてごめんね」


時間にシビアなハゲ崎なのに、


「ううん、気にしないで」


なんて言って身を寄せる。

だから私もハゲ崎に寄り添った。



胸がドキドキうるさい。

もっとずっとこうしていたい。




こうやって甘い気分に浸り食事するところを探したが、給料日なだけあってどこも満席だった。

お洒落なカフェも、イタリアンも、ファミレスさえも。

ハゲ崎は何も悪くないのに、


「ごめん、俺がちゃんと段取りしていなかったから」


なんて謝る始末。

さすがの私も、「そう、ハゲ崎が悪い」だなんて言えるはずもなく、


「残念だけど、また今度にする?」


しゅんとして告げた。



ハゲ崎に会えると思ったら、胸がドキドキして顔がにやけた。

ハゲ崎に会えるのを楽しみにしていた。

私はどんどんハゲ崎に堕ちていく。



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