甘さはひかえめで。


茜くん、なんかいつもと違ったな…。

なんだろう…

いつもは冷たいこと言っても、茜くんの優しさが伝わってくるのに…

さっきの茜くんは、言葉の裏に優しさを感じなくて…ちょっとだけ、怖かった。








鼻血も止まって、一人で体育館に戻ると

体育館の入口のところにチームのみんながいた。


「…あ!
乃々!」


燿が私に気付いて駆け寄ってくる。


「……もう、平気か?」

「うん、大丈夫」


なんか、焦ったようにそう言う燿に違和感を感じて

クスッと笑ってしまった。


「……なに笑ってんの?」

「燿が心配そうな顔してるのが、変で!」


燿がそんな顔するなんて、おかしー。

ふふ、とまた笑うと

燿はぐにと私の頬をつねった。


「いひゃひゃ!」

「心配したらわりーかよ。
笑ってんなよ、バカ」


いつもの意地悪かと思ったのに


「ご……め、ん…」


怒ってる顔するから

からかったみたいで申し訳なくて、視線を落として謝った。


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