甘さはひかえめで。
茜くん、なんかいつもと違ったな…。
なんだろう…
いつもは冷たいこと言っても、茜くんの優しさが伝わってくるのに…
さっきの茜くんは、言葉の裏に優しさを感じなくて…ちょっとだけ、怖かった。
*
鼻血も止まって、一人で体育館に戻ると
体育館の入口のところにチームのみんながいた。
「…あ!
乃々!」
燿が私に気付いて駆け寄ってくる。
「……もう、平気か?」
「うん、大丈夫」
なんか、焦ったようにそう言う燿に違和感を感じて
クスッと笑ってしまった。
「……なに笑ってんの?」
「燿が心配そうな顔してるのが、変で!」
燿がそんな顔するなんて、おかしー。
ふふ、とまた笑うと
燿はぐにと私の頬をつねった。
「いひゃひゃ!」
「心配したらわりーかよ。
笑ってんなよ、バカ」
いつもの意地悪かと思ったのに
「ご……め、ん…」
怒ってる顔するから
からかったみたいで申し訳なくて、視線を落として謝った。