ラーメン屋さんの彪(タイガ)くん

「今日早かったのね
お母さんお風呂入ってて…」



「あ、うん…ごめんね」



お母さんの声を聞いたら
なんかホッとして泣きそうになった

部屋まで我慢!



駐車場を出る時
大河原さんが車に乗ったのが見えた



もしかして私がひとりにならないように
一緒に待っててくれた?



「どぉ?バイト慣れた?」



「うん、まぁ…
みんな優しいから…」



「芽々、あそこのチャーハン好きだもんね
それでバイト決めたのよね」



「うん、まかないも食べれるし…」



「さっき一緒に待ってた人もバイトの子?」



「うん…
あの人がチャーハン作ってるの
私と同じ高校生なんだよ
私なんてまだ何もできないのに…」



私と年も変わらないのに…



あの店のチャーハンは
優しい味がする

それが好きで
あのラーメン屋さんが好きで
あそこでバイトしようと思ったんだ



いつもは無愛想で意地悪なのに

今日のヤケドのこととか
さっきのそーゆーのとか

ホントは優しいのかもしれない



あのチャーハンの隠し味は
大河原さんの優しさなのかもしれない



< 11 / 154 >

この作品をシェア

pagetop