来世なんていらない
遠足までは一ヶ月もあるし、
さすがに一人か二人くらいは友達が出来るはずだって思った。

一年の時だって友達は出来たんだし。

さすがに一人くらいは…。

そう思っていたのが甘かった。
一人の友達を作ることが、私には難易度が高過ぎた。

そもそも私から話しかける勇気なんて無いし、
誰も私になんか個人的にわざわざ話かけてなんてこない。

共通の話題も無いし、
みんなが親とか彼氏とかに買ってもらったようなブランド品も綺麗な服も持っていない。

ファッション誌にもアクセサリーにもメイクにも疎い。
特別顔がいいわけでもないし。

話しかけてこないどころか、むしろ避けられている気さえした。

移動教室もお弁当の時間も誘われることは無いし、休み時間に私の机に集まってくるクラスメイトなんて居ない。

その代わり、小高くんの机の周りはいつも人でいっぱいだった。

みんなが小高くんと関わりたくて、一言でもいいから言葉を交わしたくて必死って感じだった。

私はいつも背中を丸めて、読書をして平気なふりをしたり、ただジッとして休み時間が終わるのを待っているだけだった。

朝、小高くんが私におはようって言ったり、
放課後、バイバイって手を振ってくる時だけ、みんなの視線が私に集まる。

その時だけ、私はクラスに自分が存在していたってことに気付く。

小高くんの一挙手一投足は、私をいちいち惨めにしたし、孤独にした。

更には女子達の反感ポイントを地道に稼いだ。
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