来世なんていらない
「小高くんに話せる日なんて来ないかもしれない」

「どうして?俺が嫌い?」

「逆になんで小高くんは私に構うの。一年の時だって関わりがあったわけじゃない。さっきも言ったけど、私と小高くんは生きてる世界が違う。小高くんは否定するかもしれないけど、私には、はっきりと分かる」

「思い込みだよ。俺も九条さんと同じ…、同じ人間だ」

小高くんがずっと私の腕を離さないから、私も腕を引っ込めるタイミングを逃してしまって、
リスカの痕がずっと小高くんの目の前にあるのは嫌だったけど、
何故かこの時は、このままでいたいとさえ思っていた。

「武田さんも言ってたじゃない。私達は…違う…」

「りいさ、この頃変なんだよ。あんなこと九条さんに言っといて、許してあげてとは言えないけどさ…」

「うん…。きっと怖いんだよ。小高くんが離れていくことが」

「俺は…」

「私ね、小高くんが始業式の日、話しかけてくれたこと本当はちょっと嬉しかった。私のこと、ちゃんと見えてる人が居るんだって思えたから」

小高くんは私の目を不思議そうに見た。
また、その目。
離れられなくなる。

「武田さんに言われたの。現実は少女漫画とは違うって。キラキラした世界なんて都合よくやってこないって。小高くんはね、人にそう思わせてしまうの。人に生きたくさせて…死にたくさせる…。小高くんが私に何かするたびに、他の人間の心の中に嫌な感情が生まれるの…。だからもうね、私に構わないでって思ってた。小高くんが綺麗な夢を見せてくれても、その分絶望に突き落とされる…」

「俺だって、少女漫画みたいなキラキラしたヒーローなんかじゃないよ。九条さんと同じ。同じなんだよ。九条さんはそれを…信じてくれない?」

泣き出しそうな目。
私に何を信じて欲しいんだろう。
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