来世なんていらない
「喧嘩したの?」

「喧嘩っていうか、これが日常なの。“ママの大事なお客さん”が来る時は私はうちに居られない」

「…あのさ、言おうか迷ったんだけど」

「うん?」

「ソレ、お母さんにヤラれた?」

ソレ、って言いながら、真翔は私の頬に触れた。

「なんで分かって…」

「なんかちょっと腫れてるし、微妙に青いし」

「…私が悪いの。言うことをちゃんと聞けないから」

「お父さんは?」

「居ない。ママの彼氏なら…コロコロ変わるけど」

真翔が溜め息をついた。
怒ってる目だった。

「腕、見せて」

真翔に言われて、素直に左腕を差し出す。

ロンTの袖を捲って、「やっぱり」って真翔が言った。

「ごめん。せっかく貼ってくれた絆創膏、ぐちゃぐちゃにしちゃった」
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