Dear.Mother【母の日短編集】
ドキドキしながら何枚か写真を撮ってもらい、今日の撮影は終了した。
何だかんだ私は来てよかったと思う。
ママのバリバリ働く姿が見れたし、蒼永もめちゃくちゃカッコよかったし。
完成した雑誌が見れるかどうかはわからないけど……。
「蒼永くん!今日は本当にありがとう!!
助かったわ」
「いえ」
「それで中華のお店なんだけど、まだ仕事残ってて私は出られないのよ。
予約しとくから二人で行ってきてくれる?このカード使っていいから」
「わかった〜。じゃあ先に帰ってるね〜」
「気をつけて帰るのよ」
そう言うとママは慌ただしくどこかに電話をかけ始めた。
本当に忙しそうだなぁ。
残念だけど、まあ仕方ない。
せっかくなのでたっぷりご褒美を堪能しよう。
「蒼永行こ〜。撮影どうだった?」
「慣れないからちょっと疲れた」
「お疲れ〜」
「ねぇ咲玖、本当は妬いてたでしょ?」
「えっ!?いや、その…」
「あのモデルの人、彼氏いるんだって。撮影中に教えてくれた」
「そ、そうなんだ…!」