Dear.Mother【母の日短編集】
「さあ、みんな。次は作文を発表しますよ〜。
『ぼく・わたしの家族』というテーマで書いてもらいましたね。お父さん、お母さんに聞かせてあげましょうね〜」
「はーーーい!」
作文発表なんて聞いてない。
なるほど、これが咲玖が言ってた秘密なのね……。
一人ずつ先生に名前を呼ばれた子が、立ち上がって自分の書いた作文を読み上げる。
ヤバいわ…なんかすごく緊張するんだけど……。
「次は咲玖ちゃん!」
「はい!」
ついに咲玖の番だ。
ああ、大丈夫かしら……。
「わたしのかぞく、しらなぎさく」
「……っ!!」
巧くん、名前読み上げただけでブワッて泣いてるんだけど……。
フライングしすぎじゃないかしら?
「ママは、りょうりがへたです!」
いきなりそこから入るかーー!!
「このまえは、めだまやきをこがしました」
よりにもよって目玉焼きのことを……!!
本当に料理できないのがバレる!!
「でも、ママはおしごとがとくいです。
みんなからたよりにされてて、すごいです。
ママのかいしゃのひとが、ママはすごいんだよっていってました!」
「……!」
これは多分、社内のバーベキュー大会に連れて行った時のことだろうか。
子どももOKだったので、咲玖も連れて行って可愛がってもらった。