Dear.Mother【母の日短編集】
「パパは、りょうりがじょうずです。
パパがつくるごはんは、なんでもおいしいです」
巧くんは咽び泣いてる。
「パパがおうちでごはんつくって、ママはかいしゃでおしごとします。
それは、パパがごはんがすきで、ママがおしごとすきだからです」
……!咲玖……この前のことを。
「パパとママがじょうずなことをして、たすけあってるパパとママが、だいすきです!」
「咲玖〜〜!!今日は赤飯だ……っ!!咲玖の好きなものなんでも作るよ〜!!」
「……っ」
号泣する巧くんの横で、私もかなり涙腺にきていた。
本当はずっと、あの子に母親らしいことしてあげられてないんじゃないかって、不安だった。
他の母親みたいに美味しいご飯は作れないし、仕事が忙しくて土日出勤することもあるし。
咲玖に寂しい思いさせてるんじゃないかって――。
「やさしいパパと、かっこいいママがだいすきですっ!おわります」
でも、私の娘にしてはできすぎなくらい、いい子に育ってくれてるのね――……