愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
基本的に王族の婚約者は公爵家から輩出《はいしゅつ》される。

しかし、公爵家にノア様に相応しい未婚の女性がいなかったこと、また徐々に力をつけつつあるシャルロット家の力を制御する目的で私にノア様との婚約の話が舞い込んで来た。

わずか6歳でこの婚約が決まり、初めての顔合わせでノア様は私におっしゃった。

「この婚約は王家とシャルロット家の繋がりを磐石《ばんじゃく》にするためのものだ。しかし、私はセレアと仲良くなりたい。駄目だろうか?」

6歳の男の子とは思えないほど、達観していて尚《なお》私と向き合ってくださる。

幼心ながらにそんなノア様に惹かれたことをよく覚えている。

この人こそが私の国を支えるお方だと、私が愛するお方だと。

言葉を選ばなければ一目惚れだったのだと思う。
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