雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「雪野から話は聞いています。榊さんは名のある家の方だとか。うちはご覧の通り、ごく普通の、いえ普通より下の家庭だと思います。父親はいませんし、私も仕事をしているとは言えパートを掛け持ちしてなんとか生活を成り立たせている。最近は、雪野が就職したおかげでやっと少し余裕のある生活ができるようになった。そんな家です――」
「お母さん、そんなこと、創介さんにはもうとっくに話してある」
「雪野は黙ってて」
母の厳しい声に、私の言葉は遮られた。
「私のような人間には、上流階級の方がどのようなお考えをお持ちなのか分かりません。だから確認しておきたいんです。雪野は、榊さんのご家族に、喜んで迎えてもらえるんですか?」
「それは――」
「何も持たない娘です。それでも、雪野でいいと言ってくださったんですか?」
「お母さんっ!」
母の強い口調に思わず声を張り上げてしまった。
隣に座る創介さんが私を制止し、母を真っ直ぐに見つめて口を開いた。
「確かに、おっしゃる通り、父は最初からもろ手を挙げて賛成だとは言いませんでした。でも、今では僕たちの結婚を認めていますし、何より、僕自身のことですから誰が何と言おうと意思を変えるつもりはありません」
「それはつまり、反対されていたご両親を榊さんが説得された。そういうことでいいですか?」
「はい。今ではきちんと認めてくれています」
そう言った創介さんに、母が言い放った。
「それで、雪野は幸せになれるんでしょうか」
「お母さん、どうしてそんなこと――」
「榊さんにお聞きしてるの。雪野は、辛い思いをしないでしょうか」
さっきから責めるようなことばかりだ。聞いていると苦しくなる。