主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
後日。
駅前に、雲英と紅葉が向かうと━━━━━

「どうして、二人は離れてるのかな?」
「そうですね……(笑)」
(それに、態度悪いだろ?あれ…)

四人でBBQに行こうと誘い、駅前で待ち合わせた四人。

先に神と理亜が待っていたのだが“かなり”態度が悪い。

咥え煙草で、しゃがんでいる神(いわゆるヤンキー座り)
理亜も、煙草を吸いながら人の流れを見ていた。

更に二人はお互いに、そっぽを向いていた。
ガラがかなり悪く、周りの人達は見ないようにしている程だ。


「なんか、怖いね……
学生の時を思い出しちゃった」
「ん?
あー、シキ神と乙組ですか?」

「うん…」

「大丈夫ですよ!
僕がいます!
紅葉様のお気持ちを、無駄にはしません!」
頭をポンポンと撫で、微笑んだ。


「━━━━お待たせ!」
紅葉がパタパタと駆け寄ると、神と理亜が微笑んだ。
二人とも、ほぼ同時に煙草の火を消す。

「「オセーよ!」」
言葉まで、ハモった。

「フフ…」
「フッ…」
そんな二人に、雲英と紅葉が噴き出して笑った。


電車に乗るため、切符を買う。
「あ、四人分買ってるよ!」

「神くん、ありがとう!
フフ…さすが神くんだね、理亜!」

「そう?
そんなの、当たり前のことよ」

「え?」
「あ、さすがですね!」
冷たい理亜の言葉に、慌てて雲英がフォローする。

電車に乗り込む。
乗客が多く、四人は端に寄った。

「あ!一席あいてるぜ!
紅葉、座れよ!」

「え?それなら、理亜が……」

「何言ってんの?
お姫様、座って!(笑)」
理亜の顔を窺うように言う紅葉に、神がからかうように言って笑う。

「もう(笑)でも、大丈夫だから!
理亜、座って?」

「大丈夫よ!紅葉、座りな!」

「でも……」
それとなく、雲英を見る。
「紅葉様。せっかくですから、お言葉に甘えましょう?」
紅葉の視線を受けて、雲英が微笑み頷いた。

「じゃあ、座らせてもらうね!」
そう言って座ろうとすると、中年の女性がすり抜けるように座ってきた。

「あ……」
(座られちゃった…)

モタモタしてたからだな…と、雲英達の所に戻ろうとする。

「「ババァ!!そこ座んじゃねぇよ!!」」
神と理亜が、その女性に凄んだ。

「え……ななな、何!!?」

「そこ、俺のダチが座ろうとしてたんだよ!!?」
「そうよ!!退けよ、ババァ!!」

神と理亜の、凄まじい剣幕。
女性はそそくさと席を立ち、逃げるように去っていった。
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