主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「もちろん、二人でじゃなくて!
俺の友達たちと!
みんなで、飲もうって話してて……
紅葉さんも、どうかなって!」

「みんなで…」

「はい!大学の同期の奴等です!」

「みんなでなら……」

「よし!決まり!」


雲英に“会社のお友達とお食事に行ってくる”と連絡を入れ、向田についていった紅葉。

嫌な予感がした雲英は、神に連絡を入れた。

『━━━━━━は?会社のダチ?!』

「あぁ。紅葉様は、そうおっしゃってた。
でもなんか、嫌な予感がする。
お前、知らないか?
紅葉様が食事している相手のこと」

『まさか……!!!?』



一方、紅葉は━━━━━━━

(え……なんで…“男性しか”いないの!!?)

向田に連れて行かれ居酒屋に入ると、向田の同期の男子学生しかいなかったのだ。

これにはさすがの紅葉も、躊躇する。

「向田くん、女性は?
女性はいないの?」

「いませんよ」
向田の表情(かお)が、恐ろしく落ちていた。

紅葉の目には、悪魔にしか見えない。


「向田くん、申し訳ないんだけど……やっぱり、帰るね。
男性だけの中は、ちょっと………」

「んー、ダメですよ?
せっかく、ここまで来たんですから!」

「え?」

「やっぱ、世間知らずのお嬢様は、簡単に落ちますよね~」

「え?え?」

「警戒心がまるでないもん!
ちょーっと爽やかな青年顔したら、すぐに信じるし!」

「向田…く…」

「紅葉さん。
俺のこと、どんな風に思ってました?
明るくて、爽やかな優しい後輩くん?とか?(笑)」

「………」

「あー、図星だー(笑)」

「違うし!(笑)」
「違う、違う!(笑)」
「向田さんは、悪魔だもーん(笑)」
同期の男子達が、声を揃えて言う。

「………さぁ…紅葉さん!
楽しみましょうね!」
にっこり微笑み言い放つ、向田。

紅葉は、あっという間に座敷の奥に男達に引きずり込まれた。



必死に抵抗するが、びくともしない。
あっという間に目が潤み、涙が溢れてくる。

「ヤバッ!!チョー可愛い~」
「空神財閥のお嬢だぜ!」
「そそる~!!」


あまりにも、惨めだ。

“男ってのは“怖い生き物”だ!
その事を心の中に刻み込んで“警戒心”を持て!!”

あんなに、神に釘を刺されていたのに……

こうなることを予想して神は、諭してくれていたのに…………

なんて私は、バカなのだろう━━━━━
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