主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
自業自得だ。

でも、怖い!

「助けて!!甲斐!!理亜!!神くん!!
誰か!!誰か、助けて!!!」

「無理、無理~」
「ここ、俺達の先輩の店なんすよー」
「だから、いくら叫んでも誰も来ないよー」

「嫌!!離して!!お願い!助けて!!」

「はい、紅葉さーん!!
こっち見て~!」

向田の手にスマホが握られていて、動画が撮られていた。

「おい、見ろよ!」
「これ…キスマーク?」

「愛されてんねー(笑)」

「よし!その上から、チューしてあげるー!(笑)」

「おいおい(笑)間接チュー?(笑)」
「ウケる~(笑)」

ギャハハハ…!!!!と汚ない笑い声が、響いている。

とにかく、自力で逃げないと!
いつも助けてもらってばかりの、紅葉。

パニックになりながらも、必死にどうにかして逃げれないか考えていた。

とりあえず、外に━━━━━!!!

そう思い、必死にバタバタしてもがく。

「おい、動くな、よ!!」
「ちょっ…ちゃんと、押さえろ!!」

バタバタしていると、フッと足を押さえていた手が取れた。
その隙に、おもいきり蹴る。

ちょうど男の腹に当たり、更にバランスが崩れて手も解放された。

そして紅葉は、這うようにして男達から逃げようとする。

「おい!!ちょ…待て!!?」

すると丁度そこに襖が破られ、壊れた。

「え……」

「紅葉様!!!!?」
「紅葉!!!」

そこには、息を切らした雲英と神が立っていた。

「甲、斐……神…く…」

パタンと、紅葉が気を失い倒れた。

「紅葉様(紅葉)!!!」
雲英と神が、紅葉に駆け寄る。
雲英が紅葉を抱き締める。

「━━━━向田!!てめぇ…!!!?」
そして神が、向田を睨み付けた。

「なん…で…ここが…!?」

「は?
俺を誰だと思ってんの?
仲間に調べさせりゃ、すぐにわかったぞ!!」

「え?仲間?」

「シキ神の仲間」

「え?え?シキ神!!?」

「じゃあ…志岐さんって……ま、まさか…!!?」

「あぁ、そうだよ。
さぁ、俺のダチを傷つけた代償、払ってもらおうか?」

神の雰囲気が凄まじく、店の中が重く落ちていく。

「ひっ…!!!?」



「志岐、もうやめろ………」

そこに、神よりも恐ろしい雰囲気を醸し出した雲英の声が突き刺さるように響いた。
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