主従夫婦~僕の愛する花嫁様~

【看病】

夏も本格的になってきた、熱帯夜。

「………ん…暑い…!!」
かなり暑い夜に、雲英は目を覚ます。

「うわ…凄い汗だ。
これじゃ…抱き締めていた紅葉様にも汗が……
………………ん…?
熱い…?」

紅葉を見ると、全く汗をかいていない。
それどころか身体が震えている。
なのに、かなり身体が熱いのだ。

「え……
も、紅葉様!?」

体温を測る。
「38.8度!?
とにかく身体を冷やさ━━━━いや、まだ身体が震えている。
まずは温めないと……」

それから雲英は、一晩中紅葉の看病をしたのだった。


「ん……」
「あ、紅葉様!?」

「あ…甲斐…」
「大丈夫ですか!?」

「ん…寒い……」
「はい、震えてるみたいでしたので、冬用のお布団かけてます。
まだ寒ければ、毛布持ってきますが…」

「うん。毛布…ほし……」
「はい、すぐに!」

毛布をかける。
「紅葉様、どうですか?」
「ん…ありがとう…」

「良かった。
朝一番にお医者さんに来てもらいますので、それまでお休みになっててください」

「え?お仕事……」

「先程欠勤の連絡しましたよ」

「そう。ありがとう…」


「━━━━特に、気になるところはないので、風邪ですね。
お薬を、看護師に届けさせます」

「良かった。
ありがとうございます」
医師に往診に来てもらい、安堵する雲英。

そしてうどんを作り、紅葉を起こす。
「紅葉様、おうどんです。
食べて、お薬を飲んでおきましょう!」
「うん」

ゆっくり起きると、ヘッドボードにもたれかかった。
「………はい、紅葉様。あーん?」
うどんを食べやすく取り、息を何度か吹きかけ、紅葉の口元へ持っていく。

「あーん…」
ゆっくり咀嚼し、飲み込んだ。

「どうですか?
熱くないですか?」

「ん…美味しいよ…」

「良かった。
はい。あーん?」

「あーんん…
…………甲斐、後は自分で…」

「ダメですよ。紅葉様、頭ボーッとしてるでしょ?
最後まで僕がします。
…………はい、あーん?」

雲英が作ったうどんを半分程食べて、紅葉が「も…いらない…」と言う。

「紅葉様、これでも半玉分しかお作りしてないんですよ?
もう少し、食べましょ?」

「でも、もう苦しい…」

「さようですか。
でしたら、お薬を飲みましょう」
そう言って、すりリンゴの入った小鉢を取る。

「うん」

「お薬を混ぜましたので、これは全部食べてくださいね!」

微笑み、紅葉の口元へスプーンを持っていくのだった。
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