主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「そう?(笑)
フフ…でも、亞嵐さんも同じようなこと言ってたよ(笑)
“僕がお兄様ですか?”って」

「亞嵐の言うとおりですよ!
亞嵐と兄弟ってことも嫌なのに、弟だなんて……!」

「フフ…」

「紅葉様!笑い事ではありませんよ!」

「フフ…フフフ……」
紅葉は、笑いが止まらなくなる。

「紅葉様!!」
紅葉を振り向かせ、頬を包み込んだ雲英。

「え?」

「━━━━━━紅葉様。僕を嫉妬させた責任、とってくださいね!」

そう言って、紅葉の口を塞いだ。



二人は、夕食も食べずにベッドで抱き合っていた。
ベッドのスプリングが響く中、雲英と紅葉の甘い声が響いていた。

「紅葉様…可愛い…/////」

「甲斐…甲斐…好き…大好き……////」

「紅葉様、僕のことも…今だけ“雲英”って呼んでください」
額と額をくっつけて、懇願するように言う雲英。

「ん…雲英…雲英…大好き……」

「……/////幸せ…です…/////
名前呼んでもらえるだけで、言葉にならないくらい幸せです…!」

「雲英…」

「はい」

「私の…ことも……呼んで?」

「え?」

「“紅葉”って…」

「………」
ピタリと動きが止まる、雲英。

「雲英…?」
そっと、雲英の頬に触れる紅葉。

「申し訳ありません…それは……」
その紅葉の手に重ねるように、握り苦しそうに言葉を吐く。

「どう…して…?」

「止まらなくなるからです…」

「え?」

「僕は、自分が“狂っている”ことはわかってるつもりです。
僕が普段敬語なのも、スーツ姿なのも、紅葉“様”呼びも、僕の中の狂愛を抑えるためです。
じゃないと……欲望のまま、貴女を求めかねない。
だから、自分を律してるんです」
握った紅葉の手を、更に握りしめた。

「………」

「…………申し訳ありません。
わかってください」
雲英の苦しそうな言葉と声に、紅葉が胸がギュッと掴まれたようになる。

「━━━━━━でも、私は“雲英”って呼ぶ!」

「紅葉様…」

「それはいいよね!」

「はい…!」

「雲英」

「はい」

「雲英!」

「はい!」

「もっとして?
もっと、愛し合おう雲英!」

「……/////」

「雲英?」

「………/////…っと貴女は━━━━」
「んんっ!!」
ググッと雲英が、更に奥に入ってくる。


「紅葉様……もっと、もっと…一緒に幸せになりましょうね……!」
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