主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「いえ。
では、僕はこれで」

「あ、は、はい。
あ、そうだ!良かったら、クッキー食べません?
私、昨日焼いたんですよ!
甘さ控えめだし、男性でもお口に合うかと」

「結構です」

「あ、そ、そうですか」

そして玄関に向かいドアを開けようとして、そのまま口を開く。
「あー、そうだ」
「え?」

ドアの方を向いたまま、雲英が言った。

「今後は、こうゆうあからさまなことはやめてください」

「え……」

「はっきり言わせていただきます」
雲英が振り向き、浪原に向き直る。

「━━━━!!!!?」

「俺は、貴様に全く興味ない。
と言うか、迷惑だ。
ウチの中のことで何かあるなら、俺ではなくこのマンションの管理人に言え。
それくらいわかるだろ?」

「は、はい!す、すみません…!」

そう言って雲英は、浪原の家を出た。


紅葉の待つ家に入る前に、深く息を吐いて微笑みドアを開けた。

「あ!雲英!」
ドア前で待っていた紅葉が、抱きついてくる。

「紅葉様、もう大丈夫ですからね!
今後はこんなことがないように、浪原さんにお話してますから!」
雲英も抱き締めて、安心させるように背中をさすった。


次の日。
二人は、街にいた。

「紅葉様、後は何が欲しいですか?」
「え?もういいよ?」

「でも、もっと買ってあげたいです!」

「………どうしたの?なんか雲英、様子がおかしいよ?」

「…………申し訳ありません、紅葉様」

「え?雲英?」

「浪原さんのことです」

「え?」

「昨日、電気のことでご自宅にお邪魔したのには、二つ理由がありました。
一つは、浪原さんにはっきり伝えるため。
あともう一つは……」
「ん?」

「その……どこかで、紅葉様にヤキモチ妬かせたいって気持ちもありました」

「え?そうだったの?」

「はい。
紅葉様のヤキモチ妬くお姿があまりにも可愛くて……つい…」

「そうだったんだ。
もうー、酷いなぁー(笑)」
紅葉は、苦笑いをする。

「申し訳ありません!!」
紅葉に頭を下げる。

「許さない!」

「え……
あ…あ…申し訳ありません!!
どうか、お許しを!!」

「許してほしい?」

「はい!」

「……………じゃあ、私のお願い一つ聞いて?」

「はい!何なりと!!」

紅葉は、雲英に微笑んだ。
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