イケメンくんは地味子に夢中
「なんで……凜花がいるんだよ……。しかも俺のこと忘れてんのかよ……」



思わずこぼれた言葉が余計に虚しくさせた。

あんなに仲が良かったはずなのに。なんで覚えてないんだ?









凜花との出会いは10年ちょっと前。

ある日突然家のインターホンが鳴り、母さんと一緒に出た記憶がある。

玄関のドアを開けると、そこには淡いピンクのワンピースを着た女の子が。



「おとなりにひっこしてきたしまだりんかです!」



少し舌っ足らずで挨拶した女の子が恥ずかしそうに顔を上げ、目が合った瞬間に俺は恋に落ちた。

俗に言う一目惚れ。

5歳とは思えないほどの完成された顔面。ひとつひとつのパーツがすでに出来上がっていて、この世のものとは思えないほどかわいかった。

もちろん凜花の母親もきれいな人だったのをよく覚えている。



「えっと、おなまえなんていうの?」

「……じゅり」

「じゅりくん!じゅりくんかっこいいね〜」



所詮幼稚園児の言葉。

だけど、俺はそのたった一言の『かっこいい』であっという間に凜花に堕ちた。



「じゅりくん!はやくー」

「りんちゃん待ってよ〜」



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