3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
そんな中、唯一東郷家の人間が俺に関心を向ける時があった。
それは、俺の誕生日の時。
勿論、祝ってもらえるとか、そんな話ではない。
確かに東郷家で迎える初めての誕生日には、ほんの少しだけ期待はしていたものの、そんなものは何もないように普段と変わらない生活が続き、自分の考えがいかに甘かったかそこで思い知らされ、もう期待という馬鹿げたものは何も持たなくなった。
そうして、誕生日が後数時間で終わろうとする時間帯。
俺は眠りについていた時に、急に息苦しさを覚えて目を開けてみたら、そこには無表情で首を絞めてくる義理母の姿が視界に映った。
「……なんで、あなたなのかしら。あの子は今日という日を迎えることが出来ないというのに……」
そう虚ろな目で呟く義理母の言っていることが理解出来ず、止めて欲しいと訴えようとするも、段々と首を絞められている手に力が入ってきて、上手く声が出せない。
「あの人が浮気した挙句、あなたを受け入れろと言うから耐え続けてきたけど、あなたのその顔を見る度にもう限界なのよ。……殺してしまいたいという気持ちが抑えられないの……」
それから段々と震えてくる声と共に、溢れる憎しみで目に涙を浮かべながら、俺を思いっきり睨みつけてくるその表情。
それが初めて俺に見せるこの人の感情。
これまで全くの無関心だったのに、今向けられているその目はとても執着的だった。
「あなたさえ存在しなければ……私は何も知らず幸せでいたのに。あの人をずっと信じることが出来たのに。……全部あなたのせいで……」
「や……め……」
歯を食いしばりながら、どんどんと強く絞められていく首。
そのうち呼吸がうまく出来なくなり、気道が塞がっていき、意識が朦朧とし始めて、本当にこのまま殺されるのではないかと思っていたところ、急にその手から解放された。
そこから一気に空気を吸い込み、俺は激しく咳き込んでいると、義理母は何事もなかったように踵を返して、そのまま黙って部屋を出て行ってしまった。
前々から義理母と兄貴に憎まれていることは知っている。
けど、これまでそんな感情を剥き出しにしてくることはなかったのに、この誕生日に何故義理母がこんな行動に出たのか。
当時の俺は戸惑いながら、言葉では言い表せない程の恐怖を感じ、この出来事がトラウマとなった。
それからというもの、その日をきっかけに夜中に義理母が訪れる事が何度かあった。
おそらく浮気をされてから義理母はヒステリックになっていたけど、普段家族の前ではそんな姿は見せず耐えていたのだろう。
それで、我慢出来なくなった頃にその感情を晴らす為、こうして俺の首を絞めにくる。
翌朝首には赤い指の跡がくっきりと残っていたけど、当然の如く誰もそのことには触れないし、学校教師を含め誰も指摘してくれる大人はいなかった。
後になって思ったけど、これは虐待で訴えてそのまま児童養護施設に引き取られた方が、まだまともな生活が出来たかもしれない。
けど、幼かった俺はそこまで考える事が出来ず、救いを求めることもせず、その環境に慣れていってしまった。
それは、俺の誕生日の時。
勿論、祝ってもらえるとか、そんな話ではない。
確かに東郷家で迎える初めての誕生日には、ほんの少しだけ期待はしていたものの、そんなものは何もないように普段と変わらない生活が続き、自分の考えがいかに甘かったかそこで思い知らされ、もう期待という馬鹿げたものは何も持たなくなった。
そうして、誕生日が後数時間で終わろうとする時間帯。
俺は眠りについていた時に、急に息苦しさを覚えて目を開けてみたら、そこには無表情で首を絞めてくる義理母の姿が視界に映った。
「……なんで、あなたなのかしら。あの子は今日という日を迎えることが出来ないというのに……」
そう虚ろな目で呟く義理母の言っていることが理解出来ず、止めて欲しいと訴えようとするも、段々と首を絞められている手に力が入ってきて、上手く声が出せない。
「あの人が浮気した挙句、あなたを受け入れろと言うから耐え続けてきたけど、あなたのその顔を見る度にもう限界なのよ。……殺してしまいたいという気持ちが抑えられないの……」
それから段々と震えてくる声と共に、溢れる憎しみで目に涙を浮かべながら、俺を思いっきり睨みつけてくるその表情。
それが初めて俺に見せるこの人の感情。
これまで全くの無関心だったのに、今向けられているその目はとても執着的だった。
「あなたさえ存在しなければ……私は何も知らず幸せでいたのに。あの人をずっと信じることが出来たのに。……全部あなたのせいで……」
「や……め……」
歯を食いしばりながら、どんどんと強く絞められていく首。
そのうち呼吸がうまく出来なくなり、気道が塞がっていき、意識が朦朧とし始めて、本当にこのまま殺されるのではないかと思っていたところ、急にその手から解放された。
そこから一気に空気を吸い込み、俺は激しく咳き込んでいると、義理母は何事もなかったように踵を返して、そのまま黙って部屋を出て行ってしまった。
前々から義理母と兄貴に憎まれていることは知っている。
けど、これまでそんな感情を剥き出しにしてくることはなかったのに、この誕生日に何故義理母がこんな行動に出たのか。
当時の俺は戸惑いながら、言葉では言い表せない程の恐怖を感じ、この出来事がトラウマとなった。
それからというもの、その日をきっかけに夜中に義理母が訪れる事が何度かあった。
おそらく浮気をされてから義理母はヒステリックになっていたけど、普段家族の前ではそんな姿は見せず耐えていたのだろう。
それで、我慢出来なくなった頃にその感情を晴らす為、こうして俺の首を絞めにくる。
翌朝首には赤い指の跡がくっきりと残っていたけど、当然の如く誰もそのことには触れないし、学校教師を含め誰も指摘してくれる大人はいなかった。
後になって思ったけど、これは虐待で訴えてそのまま児童養護施設に引き取られた方が、まだまともな生活が出来たかもしれない。
けど、幼かった俺はそこまで考える事が出来ず、救いを求めることもせず、その環境に慣れていってしまった。