3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
「瀬名君、ありがとう。助かったわ」  

「いえ、過去にも何度かあったので、対処法は心得てますから」

瀬名さんの素晴らしいアシストにより、難なくトラブルを回避する事が出来、女性従業員の方も先程の女性客と同様に頬を染めながら安堵の溜息を漏らす。



……ああ、瀬名さん。

やはり、スマートでとても素敵です。


そして、遠くから見守る私までも、同じように頬を染めながら、冷静沈着な彼の振舞いにうっとりと見惚れてしまう。

この数日だけでも分かる瀬名さんの仕事振り。
それは噂通り無駄がなく的確で、どんなに多忙でも淡々とこなしていく、とても優秀な方。

それに加えてこの眉目秀麗な容姿なのだから、女性従業員の方達が騒がないはずがない。


「……あ、天野さんお疲れ様。立て続けの注文大変だったね」

すると、こちらの存在に気付いた瀬名さんは、柔らかい笑みを浮かべて労いの言葉をかけてくれた。

それだけで、これまでの疲れが綺麗に洗い流され、私に癒しを与えてくれる。

「いえ、瀬名さんも大変でしたね。けど、やはり流石です。あんなに素早く対処出来るなんて」

私は高鳴る胸を押さえながら、なるべく気持ちが表に出ないように平静を装う。

「大した事してないよ。それより天野さんここ最近遅番続きだから、あまり無理しないでね」

しかし、瀬名さんの謙虚な姿勢と相変わらずの優しさを見せられてしまい、そんなポーカーフェイスは見事に崩れ落ちる。

それから私の頬は再び熱くなり、口元が勝手に緩んでしまうのを何とか必死で堪えた。
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