3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
◇◇◇




____数日後。



ここで初めての週末を迎える今日。流石は人気観光地だけあって平日に比べて宿泊客が圧倒的に多く、ハウスキーピング担当である私達も普段の倍の仕事量に、朝からひっきりなしに働いた。

紅葉のシーズンは過ぎ、11月に入った軽井沢の気温は避暑地とあって都内よりも五度以上低く、朝の時間帯はまるで冬みたいな気候で体がまだ慣れない。

私は一人悴む手を擦りながら、清掃が完了した部屋のチェックをするため、宿泊リスト情報が記録された業務用のミニタブレットを携えて持ち場へと向かう。

ある程度容量が掴めたので、今日から私達はバラけて各部屋を担当することになり、今の私にはその環境がとても有り難かった。

あの日以降、宮田さんから何のアクションもなく、一先ず今は平穏な日々を過ごしている。
けど、またいつ話を蒸し返してくるか分からないので、出来ることなら極力一緒に居たくはなかった。

だから、この個人行動は非常に助かるし、週末は特に会話する隙も与えさせないくらい忙しいので、心置きなく仕事に集中出来る。


そう思いながら、私は清掃員が掃除した後の部屋をくまなくチェックする。

大きなホテルではこの作業も下請け業者に任せたりするけど、東郷グループのホテルはより上質なサービス提供をモットーとしている為、インスペクター(清掃点検係)も社員が行う。

特に常連の方に対してはこれまでの要望が記録化されていて、細かい家具の配置や必要なアメニティーなどお客様毎によって変えたりする。

なので、より満足して頂く為には細かい気配りとチェックが必要であり、完璧な客室を作り上げなくてはいけないので、ハウスキーピングという仕事もホスピタリティを重要とするとても立派な仕事だと思う。

そして、そんな仕事に携わるのは大変だけどやっぱり楽しくてやりがいがあって、つくづく私にとってホテル業は天職だと改めて感じた。
 
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