3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
◇◇◇
____翌朝。
時刻はもうすぐ七時を迎えようとするところ。
日が完全に昇り、真っ青な空がカーテンの隙間から覗いている中、私はベッドの中で安らかな寝息を立てている彼の元へと歩み寄る。
「楓さん、朝ですよ。起きてください」
そして、久しぶりに見る息を呑む程の美しさとあどけなさが残る魅力的な彼の寝顔に胸を高鳴らせながら、私は楓さんの体を優しく揺すった。
「……ん。…………美守?……ここ……ホテルだっけ?」
すると、うっすらと瞼を開けると、ぼんやりと焦点が合わない目をこちらに向けて、寝ぼけ眼でポツリポツリと呟く楓さんの寝惚けた愛らし過ぎる姿に私は一人悶え苦しむ。
「違いますよ。ここは私の家です」
とりあえず、にやけ顔にならないよう表情管理を徹しながら、私は落ち着いてやんわりと口元を緩ませた。
「……ああ。そうだったな……」
それから、楓さんは私の言葉を聞いて嬉しそうに柔らかく微笑んでから、瞼をゆっくり閉じると、再び穏やかな寝息をたて始める姿にまたもや胸が締め付けられる。
本当に、一挙一動が愛し過ぎてこのままずっと可愛らしい寝顔を見ていたいけど、これだと出発予定時刻に間に合わないかもしれないので、私は心を鬼にして楓さんを起こす為に気合いを入れた。
「楓さん、そろそろ起きないと遅れますよ?」
今度は声を貼って少し強めに体を揺すってみるも、全く効果はなくピクリとも動かない。
なんでしょう、この既視感……。
いつぞやの彼を起こすのに苦戦した日のことが脳裏に浮かんでくる。
あの時は仕事ということもあり、とにかく楓さんを起こさなければいけないという使命感で手荒な真似をしてしまったけど、今の彼にそんなことはしたくない。
けど、このままだと本当に遅れそうなので、何が何でも起きてもらわないと困る。
私は何かいい手立てはないかと顎に手をあてながら暫く考え込んでいると、ふとある手法が思い付き、彼の方に視線を向けた。
しかし、これは寝ている彼にとってあまり刺激にならないかもしれないけど、一か八かで試してみる価値はあるかもしれない。
ただ、このやり方はこの上なく恥ずかしくて、上手くできるか自信がない。でも、昨日は簡単に出来たし、今の私にはこれくらいしか思い浮かばないので、とりあえずやるだけやってみようと。
私は再び気合を入れ、静かな寝息をたてる彼の顔に自分の顔を近付けた。
そして、激しく鼓動が鳴り響く中、覚悟を決めて体を震わせながら楓さんの頬にそっと口付けを落とす。
それから唇をゆっくり離すと、その後の反応を確認するために視線を彼に戻した時だった。
何故だか先程とうってかわり、ばっちりと目を開いた状態でほくそ笑みながらこちらをじっと眺めている楓さんに、私はハッと気付く。
「ひ、酷いです!最初から起きてたんですね!?」
その視線に恥ずかしさが急激に込み上がってきて、私は耳を真っ赤にしながら抗議する。
「たった今な。それより、今度からはそうやって俺を起こせよ」
そんな私の反応を面白がるように、まるで新たな遊びを覚えたような悪戯な目でねだられてしまい、何も言えなくなってしまう。
「あ、あのお風呂沸かしたので良かったら浸かって下さい。あと歯ブラシも新しいのをご用意しましたから」
だから、明確な返事はしないでこの場を誤魔化そうと、私は不自然だとは思いながらも話をはぐらかす。
「そういえば、昨日はあのまま寝ちゃったのか。……何か久々に熟睡出来たな。というか、今までで一番良く眠れたかも」
そう言うと、楓さんはベッドから体を起き上がらせた途端、掛け布団がずれ落ちて下着一枚の姿が露わになってしまい、私は慌てて視線を逸らした。
「なんだよ。俺ら最後までしたのにまだ恥ずかしがってんのか?」
そんな反応を楽しむように顔を覗き込まれ、これまた返答に困った私は戸惑いの目を彼に向ける。
その瞬間、不意打ちの如く楓さんは私の頬に軽くキスをすると、満足気に微笑んだ後、何も言わずに立ち上がりさっさと浴室へと向かっていったのだった。
____翌朝。
時刻はもうすぐ七時を迎えようとするところ。
日が完全に昇り、真っ青な空がカーテンの隙間から覗いている中、私はベッドの中で安らかな寝息を立てている彼の元へと歩み寄る。
「楓さん、朝ですよ。起きてください」
そして、久しぶりに見る息を呑む程の美しさとあどけなさが残る魅力的な彼の寝顔に胸を高鳴らせながら、私は楓さんの体を優しく揺すった。
「……ん。…………美守?……ここ……ホテルだっけ?」
すると、うっすらと瞼を開けると、ぼんやりと焦点が合わない目をこちらに向けて、寝ぼけ眼でポツリポツリと呟く楓さんの寝惚けた愛らし過ぎる姿に私は一人悶え苦しむ。
「違いますよ。ここは私の家です」
とりあえず、にやけ顔にならないよう表情管理を徹しながら、私は落ち着いてやんわりと口元を緩ませた。
「……ああ。そうだったな……」
それから、楓さんは私の言葉を聞いて嬉しそうに柔らかく微笑んでから、瞼をゆっくり閉じると、再び穏やかな寝息をたて始める姿にまたもや胸が締め付けられる。
本当に、一挙一動が愛し過ぎてこのままずっと可愛らしい寝顔を見ていたいけど、これだと出発予定時刻に間に合わないかもしれないので、私は心を鬼にして楓さんを起こす為に気合いを入れた。
「楓さん、そろそろ起きないと遅れますよ?」
今度は声を貼って少し強めに体を揺すってみるも、全く効果はなくピクリとも動かない。
なんでしょう、この既視感……。
いつぞやの彼を起こすのに苦戦した日のことが脳裏に浮かんでくる。
あの時は仕事ということもあり、とにかく楓さんを起こさなければいけないという使命感で手荒な真似をしてしまったけど、今の彼にそんなことはしたくない。
けど、このままだと本当に遅れそうなので、何が何でも起きてもらわないと困る。
私は何かいい手立てはないかと顎に手をあてながら暫く考え込んでいると、ふとある手法が思い付き、彼の方に視線を向けた。
しかし、これは寝ている彼にとってあまり刺激にならないかもしれないけど、一か八かで試してみる価値はあるかもしれない。
ただ、このやり方はこの上なく恥ずかしくて、上手くできるか自信がない。でも、昨日は簡単に出来たし、今の私にはこれくらいしか思い浮かばないので、とりあえずやるだけやってみようと。
私は再び気合を入れ、静かな寝息をたてる彼の顔に自分の顔を近付けた。
そして、激しく鼓動が鳴り響く中、覚悟を決めて体を震わせながら楓さんの頬にそっと口付けを落とす。
それから唇をゆっくり離すと、その後の反応を確認するために視線を彼に戻した時だった。
何故だか先程とうってかわり、ばっちりと目を開いた状態でほくそ笑みながらこちらをじっと眺めている楓さんに、私はハッと気付く。
「ひ、酷いです!最初から起きてたんですね!?」
その視線に恥ずかしさが急激に込み上がってきて、私は耳を真っ赤にしながら抗議する。
「たった今な。それより、今度からはそうやって俺を起こせよ」
そんな私の反応を面白がるように、まるで新たな遊びを覚えたような悪戯な目でねだられてしまい、何も言えなくなってしまう。
「あ、あのお風呂沸かしたので良かったら浸かって下さい。あと歯ブラシも新しいのをご用意しましたから」
だから、明確な返事はしないでこの場を誤魔化そうと、私は不自然だとは思いながらも話をはぐらかす。
「そういえば、昨日はあのまま寝ちゃったのか。……何か久々に熟睡出来たな。というか、今までで一番良く眠れたかも」
そう言うと、楓さんはベッドから体を起き上がらせた途端、掛け布団がずれ落ちて下着一枚の姿が露わになってしまい、私は慌てて視線を逸らした。
「なんだよ。俺ら最後までしたのにまだ恥ずかしがってんのか?」
そんな反応を楽しむように顔を覗き込まれ、これまた返答に困った私は戸惑いの目を彼に向ける。
その瞬間、不意打ちの如く楓さんは私の頬に軽くキスをすると、満足気に微笑んだ後、何も言わずに立ち上がりさっさと浴室へと向かっていったのだった。