らんらんたるひとびと。~国内旅編~
待ち合わせの場所に行って、私はまず一日この町で過ごすことを提案した。
「私の本来の職業はピアニストです。本来、ピアノを弾きながら旅をするのが私の目的です。鈴様たちはそれに付いてもらってきているだけ。そのことは、ドラモンド侯爵からお聞きになってますよね?」
ドラモンド侯爵…と言うワードになると、鈴様は真剣な表情をして、「知っている」と答えた。
鈴様は、とにかくドラモンド侯爵の名前を出しておけば、どうにかなるのだ。
問題は、ホムラさん。
「一日、店のピアノをミュゼ様が弾かせてもらうかわりにお店の手伝いをするという約束を店長様といたしました。ですので、わたくしどもは一日、お店で働きます」
丁寧な口調でシナモンが言った。
メンバーの中で一番年下だというのに、教養があって大人であるシナモンの口調に。
鈴様は「むう…」と言った。
ホムラさんは鋭い目でこっちを見て。
「で? 店の手伝いというのは?」
「給仕のお仕事ですわ」
シナモンが明るく言うと、鈴様の眉毛がピクピク動いて「はっ!」と鼻で笑い出した。
「給仕の仕事など下僕のすることではないか。庶民どもがよってたかって何を言っておる」
人通りのあるところで、私たちは目立つのか通行人がジロジロこっちを見てくるのだが。
鈴様の発言に周りの人間も、私も凍り付いた。
下僕…言ってくれたね、この男。
おでこの血管がブチ切れるんじゃないかというくらい腹が立ったけど。
ホムラさんが信じられないくらい怖い顔をして鈴様を睨みつけた。
「では、鈴様。私はあなたと違って下僕ですので、働きに行ってきます。あなたは部屋で休んでいてください」
「ホムラは下僕じゃないだろ。私の部下なんだ。何をいじけている」
鈴様はホムラさんが怒っている理由を皆目見当がつかないらしい。
ここまで、馬鹿だと可哀想とさえ思った。
「この際だから言わせてもらいますが。鈴様、あなたは他人を見下す癖があります」
「なんだと!?」
鈴様が声を荒らげる。
「今のままでは、誰もあなたに付いて行かないでしょう。他人を下僕と吐き捨てて、庶民だと言って罵る。あなたには誰もついてこない。ドラモンド侯爵だって…」
そこまで、言ってホムラさんが黙った。
鈴様の目にはみるみると涙がたまっていた。
…赤ちゃんなのね。この人。
心はやっぱりベベちゃんなのね。
「私の本来の職業はピアニストです。本来、ピアノを弾きながら旅をするのが私の目的です。鈴様たちはそれに付いてもらってきているだけ。そのことは、ドラモンド侯爵からお聞きになってますよね?」
ドラモンド侯爵…と言うワードになると、鈴様は真剣な表情をして、「知っている」と答えた。
鈴様は、とにかくドラモンド侯爵の名前を出しておけば、どうにかなるのだ。
問題は、ホムラさん。
「一日、店のピアノをミュゼ様が弾かせてもらうかわりにお店の手伝いをするという約束を店長様といたしました。ですので、わたくしどもは一日、お店で働きます」
丁寧な口調でシナモンが言った。
メンバーの中で一番年下だというのに、教養があって大人であるシナモンの口調に。
鈴様は「むう…」と言った。
ホムラさんは鋭い目でこっちを見て。
「で? 店の手伝いというのは?」
「給仕のお仕事ですわ」
シナモンが明るく言うと、鈴様の眉毛がピクピク動いて「はっ!」と鼻で笑い出した。
「給仕の仕事など下僕のすることではないか。庶民どもがよってたかって何を言っておる」
人通りのあるところで、私たちは目立つのか通行人がジロジロこっちを見てくるのだが。
鈴様の発言に周りの人間も、私も凍り付いた。
下僕…言ってくれたね、この男。
おでこの血管がブチ切れるんじゃないかというくらい腹が立ったけど。
ホムラさんが信じられないくらい怖い顔をして鈴様を睨みつけた。
「では、鈴様。私はあなたと違って下僕ですので、働きに行ってきます。あなたは部屋で休んでいてください」
「ホムラは下僕じゃないだろ。私の部下なんだ。何をいじけている」
鈴様はホムラさんが怒っている理由を皆目見当がつかないらしい。
ここまで、馬鹿だと可哀想とさえ思った。
「この際だから言わせてもらいますが。鈴様、あなたは他人を見下す癖があります」
「なんだと!?」
鈴様が声を荒らげる。
「今のままでは、誰もあなたに付いて行かないでしょう。他人を下僕と吐き捨てて、庶民だと言って罵る。あなたには誰もついてこない。ドラモンド侯爵だって…」
そこまで、言ってホムラさんが黙った。
鈴様の目にはみるみると涙がたまっていた。
…赤ちゃんなのね。この人。
心はやっぱりベベちゃんなのね。