らんらんたるひとびと。~国内旅編~
 店を片付けて、着替えて支度する頃には21時近くで。
 とにかく何か食べなければと。
 鈴様の言葉を借りるならば、民衆(、、)居酒屋でご飯をお食べることに。
「輝くおいら達に乾杯☆」
 白雪姫の音頭に全員が無視をして。
 それぞれ、お酒(シナモンはジュース)を口にした。
 この地域の名物だというワインを飲めて幸せいっぱいだ。

 鈴様は、また豚の餌…と悪口でも言うのかと思ったけど。
 疲れているのか、黙々と食べている。
 隣でホムラさんが取り皿に料理をよそって鈴様の前に置いた。
「しっかし、おいらだってイケメンだっていうのに。どうして、2人だけわーキャーなんだい?」
 ぷくうと白雪姫が頬を膨らませている。
 店内は野郎の笑い声が響いている。
「まあ、確かに鈴様はわかるけど。ジェイがキャーキャー言われるなんてビックリだね」
 グラス片手にけらけら笑って言うと。
 全員が「えっ」と言って私を見た。
「ミュゼ。悔しいけど、ジェイはイケメンの部類だろ?」
 白雪姫が手を伸ばして、私のグラスにワインを注ぐ。
「え、イケメンなの?」
 思わず、ジェイを見ると。
 ジェイは目をそらして、顔を赤くした。
「ミュゼ様、ジェイ様は美男子ですわ」
「…そうなの? わかんない」
 そう言うと、また全員が信じられないような目で私を見てきた。
「おまえらは、同期だと言ったな。ずっと一緒なのか?」
 黙っていたホムラさんが腹から声を出して言った。
 店内がうるさいので、多少大声で言わないと聞こえないからだ。
「あら、珍しい。ホムラちゃんがおいら達に興味を示すなんて」
「どうせ、調べてるから知ってんだろ、俺達のことなんて」
 ジェイが皮肉ぶって言った。
 まあ、ドラモンド侯爵のことだから、徹底的に調べているだろうけど。
 珍しくホムラさんが私たちに興味を示しているようだから答えねば。
「私たちは騎士団学校からずーと一緒。だから、家族みたいなもんだよ」
「うん? おまえらの学校は男女一緒なのか? どこの学校だ?」
 鈴様が間髪入れずに質問する。
「しらないんかーい」と白雪姫がツッコミを入れてゲラゲラ笑いだした。
 誰も鈴様の質問には答えなかった。
「女が騎士団学校に入るというのは容易ではないと聴くが」
 ホムラさんの言葉に白雪姫はゲラゲラと笑い出す。
「さすがに、ミュゼの性格までは調べてないのかあ」
 白雪姫の笑い声にイライラしたけど。
 黙っておいた。
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