君にキュンして恋をした
わたしが…
綾斗くんを見て、不思議な気持ちになるのも。
時々胸が、
”ドクン”、とするのも。
”キュン”、とするのも。
全部…
綾斗くんが茶ノ宮くんに似てるから。
「それだけだよ。綾斗くんとは」
ほんとに。それだけ。だから…
「…別に好きじゃないよ」
わたしが綾斗くんに寄せる感情に
恋愛要素なんて、どこにもない。
だけどそれを言ったら、
ズキ……
どうしてか、胸が痛んだ気がした。
「ほんとに、それだけ…?」
メモを取る手を止めて、
真っ直ぐわたしを見つめる奈子ちゃん。
その目を、どうしても見ていられない。
スっと、目線を逸らした先には
綾斗くんがいて。
今度は膝に顔を埋めた。
「…ほんと」
自分の声があまりに小さくて、
いじけるように、わたしは
運動場の砂をさわった。