君にキュンして恋をした


保健室から見る花火は横の木で遮られてて、
ちょっと欠けてた。
あんまりよく見えなかったけど。

…だけど

位置的に。なんという奇跡だろうか。
ハートの花火だけは奇跡的に、
欠けずに、ちゃんと。見えた。

ピンク色のハート。

保健室の窓いっぱいに打ち上がって。
消えていった。

「あっ、綾斗くんっ、今の!ハートだっ…」

スー…スー……

あ。寝てる…。

なんだ。見てないじゃん。
なんだよぉ…

「……」
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