転生アラサー腐女子はモブですから!?
アイシャを見つめるいくつもの視線に負けじとその場でカーテシーをとる。
「わたくしリンベル伯爵家のアイシャと申しましゅっ……」
(噛んでしまった……、最悪だ。よりによって子供の前で噛むなんて……)
恥ずかしさからアイシャの顔がみるみる赤くなっていく。
「……………ぷっ、ははは……」
吹き出したような笑い声に思わず顔を上げれば、赤髪の美少年がお腹を抱えて笑っているではないか。
(アイツぅぅぅぅ。バカにして!!)
怒りと羞恥心でアイシャの身体が震えだす。そんな彼女を気づかうように優しい声が降ってきた。
「リアム、女性に対して失礼だよ。ごめんね、僕の友達が失礼なことをして」
アイシャを擁護したのは、あの金髪碧眼の美少年だったのだ。
怒りで震える手を抑えるためドレスの裾を強く握っていた手を優しく取られ、気づいた時には金髪碧眼の美少年がアイシャの手の甲にキスを落としていた。
まるでどこぞの乙女ゲームのような展開に、放心状態のアイシャを残し、場面は勝手に進んでいく。
「初めましてアイシャ嬢。僕は、ノア・エイデンって言うんだ。以後お見知りおきを」
(ノア・エイデン……エイデン!! まさか!!)
「ノア王太子殿下であらせられますか!? 大変失礼致しました!」
アイシャは慌てて掴まれていた手を引っこ抜き、頭を下げ数十歩後退した。手を掴んでいた王太子殿下の手が行方をなくしプラプラしているが、そんなこと知ったことではない。
(なんで、たかが伯爵家の七歳の子供の誕生日会に王太子殿下が参加してるのよぉぉぉぉ)
両親の恐るべき交友関係に慄いていたアイシャは王太子殿下のお言葉を聞けるだけの余裕はすでにない。どうにかこの場を切り抜けようとカーテシーを取り続けているアイシャの頭上からふてぶてしい声が降ってくる。
「そろそろ顔上げたらどう? 床とお友達になりたいわけじゃないでしょ」
ゆっくりと顔を上げたアイシャの目の前には、赤髪のアイツが立っていた。
「先程はリンベル伯爵家の令嬢とはつゆ知らず失礼致しました。私は、ウェスト侯爵家のリアムと言います。
以後お見知りおきを……、ピンクの子猫ちゃん」
(コイツぅぅぅ、さっきの当て付けかぁ!!)
アイシャは目の前の赤髪美少年を睨みつけるが、ヤツはニタニタと余裕の笑みを浮かべ、小馬鹿にしたような態度を隠しもしない。
ヤツからさっさと視線を逸らしたアイシャは、やり取りを注視していた他の子息、子女に向き直り、改めてカーテシーを取り、あいさつをする。
「皆さま、お騒がせ致しました。わたくし失礼い――――」
「リンベル伯爵令嬢! 私は……」
「アイシャ様、僕は――」
「こちらでお話致しましょう!」
さっさとこの場を立ち去ろうと考えていたアイシャだったが、群がる男共に取り囲まれ身動きが取れない。
迫り方が容赦ない。
(近い近い近い、ひぃっ! 助けて!! わたくしは遠くから男の子達を観察するのが好きなのよぉぉぉ)
「そろそろ私の妹を返してもらってもいいかな? 今までアイシャはこんなに沢山の人に囲まれたことがないんだ。怯えている」
アイシャの心の叫びが届いたのかダニエルが助け舟を出してくれる。
(お兄さま、笑顔だけど目が笑っていないわよ。より怖さが増してますわ)
アイシャに群がっていた男共が一斉に後退する。
(お兄様、すごっ!!)
アイシャはダニエルの迫力に負け後退した男どもの輪の中から助け出され、控えの間へと退散する事が出来た。
「わたくしリンベル伯爵家のアイシャと申しましゅっ……」
(噛んでしまった……、最悪だ。よりによって子供の前で噛むなんて……)
恥ずかしさからアイシャの顔がみるみる赤くなっていく。
「……………ぷっ、ははは……」
吹き出したような笑い声に思わず顔を上げれば、赤髪の美少年がお腹を抱えて笑っているではないか。
(アイツぅぅぅぅ。バカにして!!)
怒りと羞恥心でアイシャの身体が震えだす。そんな彼女を気づかうように優しい声が降ってきた。
「リアム、女性に対して失礼だよ。ごめんね、僕の友達が失礼なことをして」
アイシャを擁護したのは、あの金髪碧眼の美少年だったのだ。
怒りで震える手を抑えるためドレスの裾を強く握っていた手を優しく取られ、気づいた時には金髪碧眼の美少年がアイシャの手の甲にキスを落としていた。
まるでどこぞの乙女ゲームのような展開に、放心状態のアイシャを残し、場面は勝手に進んでいく。
「初めましてアイシャ嬢。僕は、ノア・エイデンって言うんだ。以後お見知りおきを」
(ノア・エイデン……エイデン!! まさか!!)
「ノア王太子殿下であらせられますか!? 大変失礼致しました!」
アイシャは慌てて掴まれていた手を引っこ抜き、頭を下げ数十歩後退した。手を掴んでいた王太子殿下の手が行方をなくしプラプラしているが、そんなこと知ったことではない。
(なんで、たかが伯爵家の七歳の子供の誕生日会に王太子殿下が参加してるのよぉぉぉぉ)
両親の恐るべき交友関係に慄いていたアイシャは王太子殿下のお言葉を聞けるだけの余裕はすでにない。どうにかこの場を切り抜けようとカーテシーを取り続けているアイシャの頭上からふてぶてしい声が降ってくる。
「そろそろ顔上げたらどう? 床とお友達になりたいわけじゃないでしょ」
ゆっくりと顔を上げたアイシャの目の前には、赤髪のアイツが立っていた。
「先程はリンベル伯爵家の令嬢とはつゆ知らず失礼致しました。私は、ウェスト侯爵家のリアムと言います。
以後お見知りおきを……、ピンクの子猫ちゃん」
(コイツぅぅぅ、さっきの当て付けかぁ!!)
アイシャは目の前の赤髪美少年を睨みつけるが、ヤツはニタニタと余裕の笑みを浮かべ、小馬鹿にしたような態度を隠しもしない。
ヤツからさっさと視線を逸らしたアイシャは、やり取りを注視していた他の子息、子女に向き直り、改めてカーテシーを取り、あいさつをする。
「皆さま、お騒がせ致しました。わたくし失礼い――――」
「リンベル伯爵令嬢! 私は……」
「アイシャ様、僕は――」
「こちらでお話致しましょう!」
さっさとこの場を立ち去ろうと考えていたアイシャだったが、群がる男共に取り囲まれ身動きが取れない。
迫り方が容赦ない。
(近い近い近い、ひぃっ! 助けて!! わたくしは遠くから男の子達を観察するのが好きなのよぉぉぉ)
「そろそろ私の妹を返してもらってもいいかな? 今までアイシャはこんなに沢山の人に囲まれたことがないんだ。怯えている」
アイシャの心の叫びが届いたのかダニエルが助け舟を出してくれる。
(お兄さま、笑顔だけど目が笑っていないわよ。より怖さが増してますわ)
アイシャに群がっていた男共が一斉に後退する。
(お兄様、すごっ!!)
アイシャはダニエルの迫力に負け後退した男どもの輪の中から助け出され、控えの間へと退散する事が出来た。