転生アラサー腐女子はモブですから!?

決意【クレア視点】

 扉から出て行くアイシャを見送ったクレアは、室内へと戻ると、その足でソファへと向かった。そして、フカフカの座面へとダイブしたクレアは、だらしなく寝そべる。こんな姿、誰にも見せられない。しかし、専属侍女のルーナだけは別だ。

 ワガママ王女だった頃を知る数少ない専属侍女の一人でもあるルーナは、あの黒歴史を耐え抜いた猛者でもあった。王女としても、女性としても終わっているグータラな姿を見ても、眉ひとつ動かさない鉄仮面ぶりは側に置くには、丁度良い。

(まぁ、ルーナが私の態度を大目に見てくれるのは、私室の中だけなんだけどね)

 十歳年上の彼女は、クレアの良き理解者であり、厳しい教育係でもあった。対外的に優雅で完璧な王女でいられるのも、ルーナの献身的な支えがあったからと言っても過言ではない。

 前世の記憶を取り戻した七歳当時のクレアは、日本人として過ごした前世の記憶に引きずられ、王女としての気品ある振る舞いが出来ず苦労した。それを一から矯正し、さらに完璧な王女として育て上げたのがルーナだった。だからこそ、クレアはルーナに絶大な信頼を置いている。
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