転生アラサー腐女子はモブですから!?
「もう時間ね。間に合って良かったわ。アイシャの最期の望みが、愛する人を生かす事で良かった。リアムの中にある魔力の残滓が貴方を呼び寄せる。彼が貴方を取り戻したいと強く願えば願うほど、魔力の残滓は光り輝き、アイシャがあの世界へ帰る道しるべとなるわ」
「リアムは私を取り戻したいと思ってくれているのですか?」
あの世とこの世の狭間に来てから時間の間隔がよく分からない。リアムのいる世界とこちらでは時間軸が全く異なる事だってあり得るのだ。
すでに私は死んだ事になっているのではないか?
リアムは私の事など忘れて、新しい恋人と幸せな家庭を築いているかもしれない。そんな事を考え始めると急に、あの世界へ戻るのが怖くなる。
マリアは、自分の生きた証を愛する人の元へ残すことが出来た。しかし、アイシャはリアムの元に何ひとつ残していない。
リアムをアイシャに繋ぎ止めておくものは何もないのだ。
愛する人に忘れ去られる現実が、アイシャの心を不安へと突き落とす。
「リアムは、今でも私のことを愛してくれているのでしょうか? ここに来てから、かなりの時間が経ちました。私がいなくなってから、あちらの世界の時間がどれほど進んだか分かりません。もうリアムは私の事など忘れて、他の誰かと幸せになっているのではないでしょうか? 私は、このまま死後の世界へと旅立った方が……」
「アイシャ! 何を言っているの!! そんな事をしたら、リアムだけでなく、キースやリンベル伯爵家の家族、そしてクレア。貴方を大切に思っている大勢の人達を悲しませる事になる。もし仮に、リアムが貴方の事など忘れて他の誰かと幸せになっているのなら、彼の中にある魔力の残滓は反応しない。彼の中に残る魔力と貴方の持つ魔力が共鳴し、今のように青く光輝く事もないのよ。だから、安心なさい。今でも、リアムはアイシャを心の底から愛しているわ。ふふふ……、仮死状態の貴方の身体を毎日撫でまわすくらいには、愛しているわよ」
「えっ!? 撫でまわすって……」
「冗談よ。まぁ、毎日キスくらいはしているんじゃないかしら」
「えっ、キス!? えぇぇぇぇぇ…………」
「それくらい許してあげなさい。そのおかげで貴方はあの世界へ戻れるのだから」
キス…、撫でまわす………………、リアムはいったい私の体に何してんのよぉぉぉぉ
「ほらっ! 手を繋いで。今度こそ失敗しないわ。貴方の中に私の魔力を全て注ぎ込む。アイシャがリアムの元へ戻りたいと強く願えば願うほど、お互いの魔力が共鳴し、導いてくれる。さぁ! 願いなさい。リアムの元へ帰りたいと」
リアムとの日々は、楽しくて、辛くて、苦しくて、切ない日々だった。それら全てが愛おしい想い出。
もう迷わない。彼の元へ帰りたい……
お願いリアムの元へ帰して……
アイシャの身体の中へと、強烈な光が流れ込んでくる。視界いっぱいに、キラキラと輝く光の粒が広がり、大流となってアイシャの周りをクルクルと回り出す。
「アイシャ幸せにね……」
「――――、マリアさんも」
私の最後の言葉は彼女に届いただろうか?
消えゆく世界の中でまた、彼女も消え去る。
美しい笑顔だった。
やっとマリアもアイシャという柵から解放され、愛する人の元へ行けるのだ。
光の粒が竜巻きのようにアイシャの周りを駆け巡り、宙に舞った花びらが視界を覆ったと思った時、アイシャの意識は弾け飛んだ。
リアムの元へ――――
「リアムは私を取り戻したいと思ってくれているのですか?」
あの世とこの世の狭間に来てから時間の間隔がよく分からない。リアムのいる世界とこちらでは時間軸が全く異なる事だってあり得るのだ。
すでに私は死んだ事になっているのではないか?
リアムは私の事など忘れて、新しい恋人と幸せな家庭を築いているかもしれない。そんな事を考え始めると急に、あの世界へ戻るのが怖くなる。
マリアは、自分の生きた証を愛する人の元へ残すことが出来た。しかし、アイシャはリアムの元に何ひとつ残していない。
リアムをアイシャに繋ぎ止めておくものは何もないのだ。
愛する人に忘れ去られる現実が、アイシャの心を不安へと突き落とす。
「リアムは、今でも私のことを愛してくれているのでしょうか? ここに来てから、かなりの時間が経ちました。私がいなくなってから、あちらの世界の時間がどれほど進んだか分かりません。もうリアムは私の事など忘れて、他の誰かと幸せになっているのではないでしょうか? 私は、このまま死後の世界へと旅立った方が……」
「アイシャ! 何を言っているの!! そんな事をしたら、リアムだけでなく、キースやリンベル伯爵家の家族、そしてクレア。貴方を大切に思っている大勢の人達を悲しませる事になる。もし仮に、リアムが貴方の事など忘れて他の誰かと幸せになっているのなら、彼の中にある魔力の残滓は反応しない。彼の中に残る魔力と貴方の持つ魔力が共鳴し、今のように青く光輝く事もないのよ。だから、安心なさい。今でも、リアムはアイシャを心の底から愛しているわ。ふふふ……、仮死状態の貴方の身体を毎日撫でまわすくらいには、愛しているわよ」
「えっ!? 撫でまわすって……」
「冗談よ。まぁ、毎日キスくらいはしているんじゃないかしら」
「えっ、キス!? えぇぇぇぇぇ…………」
「それくらい許してあげなさい。そのおかげで貴方はあの世界へ戻れるのだから」
キス…、撫でまわす………………、リアムはいったい私の体に何してんのよぉぉぉぉ
「ほらっ! 手を繋いで。今度こそ失敗しないわ。貴方の中に私の魔力を全て注ぎ込む。アイシャがリアムの元へ戻りたいと強く願えば願うほど、お互いの魔力が共鳴し、導いてくれる。さぁ! 願いなさい。リアムの元へ帰りたいと」
リアムとの日々は、楽しくて、辛くて、苦しくて、切ない日々だった。それら全てが愛おしい想い出。
もう迷わない。彼の元へ帰りたい……
お願いリアムの元へ帰して……
アイシャの身体の中へと、強烈な光が流れ込んでくる。視界いっぱいに、キラキラと輝く光の粒が広がり、大流となってアイシャの周りをクルクルと回り出す。
「アイシャ幸せにね……」
「――――、マリアさんも」
私の最後の言葉は彼女に届いただろうか?
消えゆく世界の中でまた、彼女も消え去る。
美しい笑顔だった。
やっとマリアもアイシャという柵から解放され、愛する人の元へ行けるのだ。
光の粒が竜巻きのようにアイシャの周りを駆け巡り、宙に舞った花びらが視界を覆ったと思った時、アイシャの意識は弾け飛んだ。
リアムの元へ――――