転生アラサー腐女子はモブですから!?
「くくくっ、取って喰おうってわけじゃないんだから、逃げなくたっていいじゃない」
「――――ふぇ!?」
急に砕けた調子で話し出したクレア王女に面食らい慌てて振り向くと、肩を震わせ笑う王女と目が合う。目に涙をため笑い続ける王女に拍子抜けしてしまう。
「ごめんなさいね。あまりに面白かったから、つい。人払いをしていたのは、先日のお茶会でのことを、きちんと謝ろうと思ったからよ。王女としては、人前で頭を下げるわけにはいかないの。色々と面倒くさいのよ。自身の尊厳にもかかわることだしね」
そう言って笑うクレア王女は、数日前に会った彼女とはだいぶ印象が違う。
(いったい、何が起こったの? 王妃さまに怒られて、心を入れ替えたと言うには何か違うような……)
そんなことを考えていたアイシャだったが、次に続いたクレア王女の言葉に意識が削がれる。
「――でもね、アイシャにはきちんと謝りたかったの。臣下に対する王族の大切な心構えを諭された時、目が覚めた。今までの自分の行動は悪役王女そのものだった」
(悪役王女? えっ、どういうこと? 言葉のあや、かしら……)
「クレア王女殿下、あの――――」
アイシャの言葉を遮るように、クレア王女は言葉を紡ぎ、瞳からハラハラと涙をこぼす。
「気に入らないことがあれば周りに当たり散らし、王女なのだからと、誰もが私に傅いて当たり前だと思っていた。貴方の言う通り上位の者が下位の者に対して振る舞う行為の責任も考えずにね」
お茶会の席でのクレア王女の振る舞いを見れば、今までの彼女が傍若無人な暴君そのものだったとわかる。しかし、目の前で涙を流すクレア王女は、自身の行いを本気で悔いている。
(私の行動が、クレア王女を変えたのかな)
「あれから色々調べたの。大勢の侍女が、私のせいで辞めていったわ。その者達がどうなったかまではわからなかった。誰もが口を噤んでいる事実が、悲惨な末路を辿った事を物語っていた。私はどうしようもない性悪女だったのよ」
顔を両手で隠し静かに泣くクレア王女は、あの醜悪なまでの傲慢な姿が消え、別人のようだ。
アイシャは肩を震わせ泣くクレア王女の横に座り、彼女を抱きしめ言葉を紡ぐ。
「今までの行いを消すことは出来ません。しかし、自身の行動を反省し、後悔している今の貴方なら変わることが出来る。傷つき、去って行った者達のためにも良き王女になってください」
アイシャの言葉に耐えきれなくなったのか、膝の上に突っ伏し声をあげ泣き続ける彼女の背を、アイシャは優しく撫で続けた。
そして、数刻後。アイシャは泣き止んだクレア王女に手を握られ迫られていた。
「お願いよぉ、アイシャ。わたくしのお友達になってちょうだい!」
「イヤイヤイヤ、わたくしに王女殿下のお友達なんて恐れ多い事でございます。クレア王女殿下に相応しい容姿も頭も良い、高位貴族のご令嬢方とお友達になられるのがよろしいかと存じます。侯爵令嬢とか、侯爵令嬢とか、侯爵令嬢とか……」
「わたくしはアイシャと友達になりたいの! うん。と言うまで、ここから出さないんだから!!」
アイシャを友達にしたいクレア王女と、これ以上王族と関わりたくないアイシャとの攻防は、クレア王女の猛烈なアタックに屈したアイシャの完敗で幕を閉じた。
(本当に、本当に、私の平穏どこ行ったぁぁぁ!!!!)
「――――ふぇ!?」
急に砕けた調子で話し出したクレア王女に面食らい慌てて振り向くと、肩を震わせ笑う王女と目が合う。目に涙をため笑い続ける王女に拍子抜けしてしまう。
「ごめんなさいね。あまりに面白かったから、つい。人払いをしていたのは、先日のお茶会でのことを、きちんと謝ろうと思ったからよ。王女としては、人前で頭を下げるわけにはいかないの。色々と面倒くさいのよ。自身の尊厳にもかかわることだしね」
そう言って笑うクレア王女は、数日前に会った彼女とはだいぶ印象が違う。
(いったい、何が起こったの? 王妃さまに怒られて、心を入れ替えたと言うには何か違うような……)
そんなことを考えていたアイシャだったが、次に続いたクレア王女の言葉に意識が削がれる。
「――でもね、アイシャにはきちんと謝りたかったの。臣下に対する王族の大切な心構えを諭された時、目が覚めた。今までの自分の行動は悪役王女そのものだった」
(悪役王女? えっ、どういうこと? 言葉のあや、かしら……)
「クレア王女殿下、あの――――」
アイシャの言葉を遮るように、クレア王女は言葉を紡ぎ、瞳からハラハラと涙をこぼす。
「気に入らないことがあれば周りに当たり散らし、王女なのだからと、誰もが私に傅いて当たり前だと思っていた。貴方の言う通り上位の者が下位の者に対して振る舞う行為の責任も考えずにね」
お茶会の席でのクレア王女の振る舞いを見れば、今までの彼女が傍若無人な暴君そのものだったとわかる。しかし、目の前で涙を流すクレア王女は、自身の行いを本気で悔いている。
(私の行動が、クレア王女を変えたのかな)
「あれから色々調べたの。大勢の侍女が、私のせいで辞めていったわ。その者達がどうなったかまではわからなかった。誰もが口を噤んでいる事実が、悲惨な末路を辿った事を物語っていた。私はどうしようもない性悪女だったのよ」
顔を両手で隠し静かに泣くクレア王女は、あの醜悪なまでの傲慢な姿が消え、別人のようだ。
アイシャは肩を震わせ泣くクレア王女の横に座り、彼女を抱きしめ言葉を紡ぐ。
「今までの行いを消すことは出来ません。しかし、自身の行動を反省し、後悔している今の貴方なら変わることが出来る。傷つき、去って行った者達のためにも良き王女になってください」
アイシャの言葉に耐えきれなくなったのか、膝の上に突っ伏し声をあげ泣き続ける彼女の背を、アイシャは優しく撫で続けた。
そして、数刻後。アイシャは泣き止んだクレア王女に手を握られ迫られていた。
「お願いよぉ、アイシャ。わたくしのお友達になってちょうだい!」
「イヤイヤイヤ、わたくしに王女殿下のお友達なんて恐れ多い事でございます。クレア王女殿下に相応しい容姿も頭も良い、高位貴族のご令嬢方とお友達になられるのがよろしいかと存じます。侯爵令嬢とか、侯爵令嬢とか、侯爵令嬢とか……」
「わたくしはアイシャと友達になりたいの! うん。と言うまで、ここから出さないんだから!!」
アイシャを友達にしたいクレア王女と、これ以上王族と関わりたくないアイシャとの攻防は、クレア王女の猛烈なアタックに屈したアイシャの完敗で幕を閉じた。
(本当に、本当に、私の平穏どこ行ったぁぁぁ!!!!)