【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

王太子の婚約者と王家の影 ※ジェラルド視点


 ────あの日、出会ってしまった少女をなぜここまで守りたいと切望したのかはわからない。しかし、目の前の書類の山が、彼女を何としても守りたいという私の気持ちを代弁している。

「……ステラ・キラリス伯爵家令嬢につける王家の影か?」

 当時、騎士団長に昇進したばかりのバルトが、俺の肩に気安く手を置いて極秘の指示書をのぞき込んだ。
 もちろん、王家の影については全てが秘匿されているが、騎士団長が相手というなら話は別だ。
 騎士団長と、王国軍の最高司令官は、いつだって情報をやりとりしながら、ともに戦う仲間でもある。

「……お前の護衛をしているレザンをつけるのか? 王家の影の中でも精鋭中の、精鋭じゃないか。彼女に何かあるのか?」
「ステラ嬢は、精霊に愛される加護を持つが、自身は普通の令嬢で、身を守るすべを持たない。彼女が害されれば、ルルードの怒りは王国全土を巻き込む。……精鋭をつけるのは、当然だろう」
「……レザンであれば、お前の命令は絶対だろうな。しかし、お前の身辺の警護が手薄にならないか? そこまでして、なぜ」
「何が言いたい、バルト」
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