【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

 赤毛の癖毛を揺らすバルトは、王立学園からの腐れ縁だ。
 当時、この王国で現在一番力が強い精霊ルルードを呼び出した俺に、当初は何かと突っかかってきた。
 もちろん、相手にする気はなかったのだが、しかし彼はしつこかった。

「はあ、毎日のように決闘を挑んでくるものだから、否が応でも剣が上達してしまった」
「ん? なんの話だ……?」
「いや、何でもない。ステラ嬢には、レザンをつける。これは決定事項だ」
「そうか……。珍しいな、お前が誰かに興味を示すなんて」
「……興味?」

 誰かに興味を示す、その言葉を聞いたとたん、浮かんでしまったのはステラの笑顔と泣き顔だった。
 妹どころか、娘でもおかしくない彼女のことを、精霊ルルードはいたく気に入っている。
 だが、どんな言い訳をしようと、レザンを自分の護衛任務から外してまで、ステラにつける理由はそれだけではないだろう。

「……興味がないと言えば、嘘になる」
「そうか。だが、彼女は王太子殿下の婚約者で、国母になるお方だ」
「お前な……。そういう話が好きなことは理解しているが、彼女と俺は」
「──人を愛することを前に、年齢や身分、ついでに性別なんて小さな話だと思わないか?」
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