【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

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 そして始まった軍法会議。私は、持っている情報、権力、財力、全てを使って、展開を有利にしていった。こちらは問題ないだろう。そもそも、先に精霊たちを裏切ったのは、甥であるフェンディルだ。
 彼はすでに王太子の資格を剥奪された。もし、私があの場に駆けつけなければ、この王国は精霊の加護から見放されたに違いない。

「しかし、見えづらい」

 細かい文字が少々見えづらいことが否めない今日この頃。
 精霊の加護を受けて以降、私の視力はものすごく良くて、どんなに遠く米粒のような対象でもはっきりその姿を確認できる。
 その弊害として、近くのものは若い頃から少々見づらいのだ。

「──しかし、眼鏡まで必要になったのは、最近だ。……年かな」

 私の罪状を長々と書き連ねた書類。
 思わず眼鏡を外して目頭を押さえる。
 もう少し、大きな字で書くという配慮はないのだろうか。
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