a Piece of Cake.
久しぶりほど久しぶりではないけれど、週に一度来ていたときに比べれば久しぶりだ。
「お久しぶりです」
笑って返す。ショーケースへ視線を下げれば、ひとつだけ残ったミルクレープが目に入った。
「ミルクレープ!」
「はい、夏の新商品です」
「ください。あとエクレア、二つ」
「かしこまりました。今ちょうど聡現……さん外に出てまして」
「いや、ケーキ買いにきただけなので」
わたしは財布を出しながら肩を竦める。きっと聡現くんやお兄さん目当てのお客さんが多いんだろう。
ケーキも十分に美味しいのに、人気だなあ。