a Piece of Cake.

「またどこかで……」

呟いた声が聞き取れなくて、聞き返すけれど、「いや」と首を振られた。

「依理須さんが来られない間に、夏の商品に変わりましたよ」
「そう! この前カフェでミルクレープを見かけて食べたいなあと思ってたら、ミルクレープ見つけちゃって!」
「日本語……?」
「あ、さっきお店でね」
「店来たんですか」

あ。
顔に出てたのだろう。聡現くんは失笑した。

「夏のタルトは、桃です」
「え! 良いねえ」

背筋が伸びる。それをきょとんと見返される。

「依理須さん」
「ん?」
「綺麗になりましたね」

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