夢見る夢子は、元アイドルに運命を感じてしまいました!
「え??」

「ほら、庭に桃の木があるから。」

わぁ、たっくん、そんなことにも気付いてたんだ。



「そうなんです。
実は、あの桃の木は、私が生まれた時におじいちゃんが植えたらしいんです。」

「……愛されて育ったんだな。」

小さな声でそう呟いたたっくんは、妙に寂しそうに見えた。
そういえば、たっくんの家族については何も知らないな。
公表してなかったのかな?
たっくんは、ポケットから取り出した紙に私の名前を書いた。



「じゃあ、これ、渡しとくよ。
本当にありがとう。」

「は、はい。」



わぁ、たっくんの直筆なんだ。
なんかそれだけで貴重だよね。
けっこう綺麗な字だね。
普通のサインより、ある意味、レア?
わ、住所はうちのが書いてある。なんか照れるなぁ。
でも、本当に律儀な人だよね。
私が勝手に出したようなものなのに、わざわざ借用書まで書いてくれるなんて。
ハンコまで押してあるよ。



「何か不備がある?一応、ネットで見た通りに書いたつもりなんだけど。」

「い、いえ、大丈夫です。」

「そう、良かった。」

微笑むたっくんに、私も同じように微笑んだ。
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