1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

「お姉ちゃん、久しぶり!」

 ミラベルはアリアの顔を見た瞬間、笑顔で抱きついてきた。
 アリアは複雑な笑みを浮かべながら「久しぶりね」と返す。


「侯爵さまもお元気そうで何よりです!」

 ミラベルはフィリクスにも挨拶をした。
 フィリクスはゆっくりしていくように言い、ミラベルはなんと侯爵家に3日も泊まることになったのである。

 ミラベルは侯爵家にいるあいだ、フィリクスにくっついていた。
 食事の時間もずっとフィリクスと会話を楽しんだ。

 ミラベルはすっかりフィリクスが気に入ったようだ。
 フィリクスも嬉しそうにしており、まんざらでもなさそうだった。

 アリアはどうも落ち着かなかった。
 というのも、彼女はアリアのすべてを奪ってきたからである。


 ミラベルは病気がちで常に両親の気を引いていた。
 それに甘えていたのか、彼女は何を買い与えられても気に入らないと言い、もっと高価なものを両親に要求していた。
 そのときの口癖がこうだ。


『あたしは病気で可哀想なの。自由な身のお姉ちゃんとは違うんだから。欲しいものくらいちょうだいよ!』

 アリアはうんざりした。
 今、考えてみても嫌気がさす。


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