「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
「え? あ。ライリーさんですか? 格好良いですよね。悪っぽくて野生味があるというか……」

「じゃあ、これは?」

 そう言われてルーンさんの方向を見ると、さっきまでとても可愛い顔をしていたはずのルーンさんの顔が、いきなり色気したたる大人の男性になっていて驚いた。

 長めの黒い髪に良く合う、涼やかな青い目。けれど、さっきまでの可愛いルーンさんが成長した姿だと納得出来てしまう近似性。

 ルーンさんは魔法使いだから、きっと自分の姿を自由に変えられるんだ。

「わ! え。これって、ルーンさんの成長した姿ですか? 素敵です! でも、これだと、ベアトリス様に追い掛けられてしまいますね」

「……ベアトリスのくだりは、褒め言葉でも何でもないから。おいおい。前に注意したことを忘れた? 夫以外の男は、もう褒めないはずだろ?」

「ふふ。そうでした。ごめんなさい」

 私とルーンさんが仲良く話をしている間に、なぜかシリルがすっくと立ち上がった。

「ライリー。俺の妻に、何か言いたいことがあるのか?」

 挑むような眼差しとその言葉に、ライリーさんも立ち上がった。そして、私の方を見て言った。

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