「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 そういえば、離婚した妻は元の夫に買ってもらったドレスや装飾品はどうするのかしら……? 返却? 汚さないように、一層気を遣わなくては。

 今まで私は結婚までも遠い状況だったから、そんなことを気にしたこともなかったから、離婚した際の財産についてお母様に確認しておかないと……。

「うんうん。フィオナは、本当に可愛いなあ……俺は君と結婚出来て、本当に運が良かったよ」

 満足そうに頷いたシリルに、私はどうしても我慢出来なくなって言った。こんなにしてもらうだけなのは、やっぱり気が引けてしまう。

「あのっ……私。シリルのおかげで、今日はたくさん満足することが出来ました。シリルは、何かしたいことはないですか?」

 シリルは私の言葉が思ってもないことだったのか、目をパチパチとしてぽかんとしてから明るく微笑んだ。

「え? ……うん。そうだね。じゃあ、俺もフィオナに付き合ってもらおうかな」


◇◆◇


 シリルが「自分が行きたい場所」として連れて来てくれたのは、王都から離れた場所にあるとても広い草原だった。

「わあっ……」

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