「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 こんな私なんて、シリルには好かれないだろうって最初から諦めていたからだ。

「ジャスティナには、何度か確認されたの。シリルとはいずれ別れるし好きじゃないって……そう言ったのに。あの子は、それをエミリオ様に言わなかったんだわ。どうしてだと思う……?」

 シリルは、優しく微笑んだ。私も既にその理由を知っていたんだけど、彼が聞いてもそう思うか知りたかった。

「ジャスティナ嬢は親友とまで言えるほどに、フィオナに近かったんだから、フィオナが嘘をついているとわかったんだと思うよ。口ではそう言ってるけど、君は俺と別れたくなくて、好きだと思っていることを、彼女は誰より理解してくれたんだ」

 ああ。そう。そうよね……きっとそうだわ。

 そして、彼女は自分の間違いを知って……だから、シリルと私に話をしたいと思ったのね。

 どうして。そんなことは黙っていれば、わからないままだったのに。

 もしかしたら、私も彼女を想っているように、私を大事に想ってくれていたの?

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