冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「あ・ん・た・が、その話合いの邪魔になってんのよっ! とっとと応接室に戻らんかっ!」

 ちなみに彼女とロージーは騎士学校以前の学友らしい。その辺りの関係性はキースはよく分かっていなかったが彼女の言葉を聞いて、キースの頭にほんのわずかな光明が差す。

「殿下……、こういった事情があることにしてしまえばどうでしょう……」
「ん……ほう? なるほど……そういうことならば、国際問題にこぎつけられるやも知れんな。しかし動機としてはまだ弱い。もう一押し欲しいか……よし、段取りは私の方で進めておこう。さすがだな、キース」
「いいえ……そこにいらっしゃるフレア嬢のおかげですよ。さすが、殿下をお射止めになった方だ」 
「そうでございましょう? なんだかわかりませんが、もっと褒めて頂いてもよろしいんですのよ? おーっほっほっ! おーっほっほっほっ!」
「ちょっとキース、これ以上この女を調子に乗らせないでよ……!」

 口元に手を当てたフレアが高笑いを繰り返し、ロージーががくりと肩を落とのを見た男たちは朗らかに笑う。

「高い立場にありながら、あれほど民のためを思いやれる人物はそうはいない……リュアン殿もこの国の将来にとって、手放すわけにはいかない財産だからな。ぜひともこの国へ無事、戻ってきて欲しい」
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