冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「ええ、私も同じ思いです。いや……この事態が終わって帰ってきた時、きっと更に躍進を遂げて帰ってくると、副官としてそう信じています。そしてセシリー嬢の存在は、必ずその助けになってくれるはずだ」
「ならば……私も聖女として全力を尽くさねばなりませんわ。……レオリン様、彼はどこまで知っておいでですの?」

 ロージーがエイラにお茶を用意してもらうと言って出ていった後、フレア嬢がキースを手で差し示し、レオリンは頷く。

「ああそうだ。本日来たのはその話についてでもある。君は……大災厄の封印についてリュアン殿からある程度の事情は聞かされているのだな?」
「ええ……ガレイタム側では長くとも、封印が破られるまで後数年の猶予しか無いと判断していると……ですから、早急に再度――」
「いや……実は事態はもっと深刻だ。実は……。フレア……その辺りの話を頼めるか。彼は信用できる男だ」
「レオリン様がそう言われるのでしたら……では。わたくしも最近聖女の資格者として、やっと女神に拝謁(はいえつ)することが叶ったのですが――……」
「……――なんですって!? 失礼……」

 フレアの話を聞いて思わず取り乱すほどの衝撃を受け、非礼をわびた後、キースはこめかみを押さえてひどい頭痛に耐えた。

(次から次へと頭の痛い話ばかり……セシリーさんが心配だ。リュアン、ラケル、彼女のことをどうか頼みますよ……)

 これを現地で知らされたであろうセシリーの心情はいかばかりか……。そうキースは嘆き、せめて彼女が無事リュアンたちと合流し、心細い思いをせずに済んでいることを祈った。
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