冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 両腕や髪の先を焦がしながらラケルは叫んだ。

 リュアンは迷う……よぎるのは彼が初めて騎士団に入りリュアンに会った時の記憶だ。

 彼は言ってくれた。「あなたは僕の憧れです! 絶対にいつか、隣に並んで……あなたを追い越して見せます!」などと――。

 そうして、その言葉に恥じないだけの努力を彼はずっと続けていた。
 失敗もあったけれど、それからも必死に学び地道に成長を続けた。
 身分なんて関係なく、誰にでも明るい笑顔を見せていた。
 苦しんだ人々に寄り添い、必死にその肩を支えていた。

 優しくて、頼りになる、自慢の後輩で……。
 今はまだ未熟だが、きっとこの魔法騎士団をいずれ背負ってゆく、そんな彼の未来を、信じていた――。

(……すまん――!)

 リュアンは……魔法を解除できなかった。ラケルの魔力は尽き、完全に反射された魔法が……彼の元へ押し寄せる。炎が、彼を飲み込んだその時。
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