冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 ロージーの師匠となってくれたメイアナの下には、ふたつの国に起きた事件以来、オーギュストからこれが届くようになったのだという。こんな風に、人が生きてゆく限りまた、数多の絆が育まれてゆくものなのだ。

「どうしても、この面子だと二年前を思い出してしまいますね……」
「そうだな……そんなに経ったか。いや、まだ二年、だな」

 キースは、感慨深そうに言うリュアンに目をやったが、彼は表情を暗くしておらず、軽い冗談を飛ばす。

「それはそれと、もし今あいつが帰って来たら、一番弄られるのはラケルだぞ? お前絶対……誰って聞かれるからな?」
「……うるさいな。大人になったんですよ」
 
 顔を背け憮然とするラケルに、一同は笑った……。



 ――そう、もう二年の時が経った……セシリーが消えて。
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